石川臨床インプラント学術研究会 インプラントについて
口腔インプラントの概要
何らかの理由で歯を失った場合、乳歯、永久歯、入れ歯でもない第3の歯として今、世界中で注目されている最新医療が、口腔インプラント治療(人工歯根療法)です。
これまで、抜けたり、欠けたりして失われた歯を治す方法は「入れ歯」にするか「差し歯」にするという、1通りしかありませんでした。しかし、これらの治療法は手軽に行なえる反面、入れ歯の場合は異物感があり手入れが大変だったり、差し歯の場合は治療するために隣の歯を削らなければならなかったりと不便を感じることも少なくありませんでした。口腔インプラント治療(人工歯根療法)とは、これらの不便を取り除いてくれる、全く新しい治療法です。
インプラントの歴史
最初の動物実験は1950年代に開始されました。1965年から臨床実験が始まり、そして、最初の臨床論文が1977年にスウェーデンの大学から発表されました。1982年にカナダのトロント大学におけるシンポジュウムが決起となり、全世界で注目されるようになりました。
一方、日本においては、1975年から臨床応用が開始され、数年後、比較的早期に研究論文が発表されました。1991年の日本口腔科学会総会においてようやく学閥間の交流が各専門部会ごとに行われ、全国的にインプラント治療が広く患者さんに提供できるようになりました。
すなわち、体系づけられたインプラント治療が日本に導入されてまだ20年とその歴史は浅いですが、ここ3年間で手術手技は急速に進歩しています。
口腔インプラント治療(人工歯根療法)とは
人工金属物の歯根を顎の中に埋め込み、しっかりと顎の骨と固定します。その後、それを支台として人口の歯を装着し、失われた歯や咬み合わせの再建を行う歯科治療のことです。その材料は純チタン製の金属です。
インプラントは体に無害
純チタンは人体組織に対する親和性が高く、金属アレルギーの発生の報告は今までありません。また、他の金属アレルギーを持っている人でも問題はありません。
インプラント治療の効果
最大の利益は噛む力の回復です。義歯では味わえなかった肉類、たくあん、アワビなどが以前に歯があったときのように噛むことができます。そのほか、審美的な唇の回復、発音の明瞭さなどもあげられます。
インプラント治療と従来の治療の違い
最大の利益は噛む力の回復です。義歯では味わえなかった肉類、たくあん、アワビなどが以前に歯があったときのように噛むことができます。そのほか、審美的な唇の回復、発音の明瞭さなどもあげられます。
■歯を一本失った場合
<従来法>
失った両側の健康な歯を使ってブリッジにして固定します。
<インプラント>
失った部位だけにインプラントを埋めますので健康な歯を傷つけません。
歯を複数本失った場合
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<従来法>
健康な歯に金属のバネをかけて入れ歯を固定します。違和感があり、バネをかけた歯にも負担がかかります。
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<インプラント>
入れ歯の床や金具の違和感がなく、バネをかけた健康な歯への負担もありません。
●症例● | |
![]() 手術前 |
![]() 手術後 |
歯をすべて失った場合
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<従来法> |
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<インプラント> |
<ブリッジ型総入れ歯>
2本のインプラントの間に渡した金具に入れ歯を装着します。
<ブリッジ型総入れ歯>
2本のインプラントの間に渡した金具に入れ歯を装着します。
●症例● | |
![]() 手術前 |
![]() 手術後 |
インプラント治療が適している人
全身的検査によって手術が可能であればどなたでも可能です。しかし、お口の衛生状態があまり良くない人、顎の骨がやせてしまっている人、顎に慢性の炎症、腫瘍の摘出術後などの人は詳しい検査が必要になります。また、10代もしくは70歳を超えられた人はレントゲン検査から骨密度を測定して判断したほうがよいでしょう。また、上顎の奥歯の場合、上顎洞という空洞の存在が手術の妨げになる場合がありますのでレントゲンで確認します。
- 骨の量が少ない。
- インプラントを埋める場所に何かの病気があるか近くに神経が走っている。
- 全身的に慢性の病気がある、など
の理由でインプラント治療が適さない場合も考えられますが、現在では、骨が不足していても骨移植を行うことでインプラントの埋入は可能です。
また、当医院では、これまで難しいとされていた上あごの奥歯に対する施術も可能にしました。
参考文献:室木歯科口腔外科医院HP
(http://www.muroki-tooth.com/html/inplant_1.html)